相反する「韓国のマナー」 「日本のマナー」

　　日本と韓国、似ているようで全く似てないようで、育んできた文化がそれぞれに違うわけですから、そんなのは当たり前、だから「ちょっとおかしいよ」なんて一概に言えないことは多々あります。

　　自分が最も不思議に感じたのは女性の立て膝座りですよね。
やはり女性としては品が無さ過ぎなんじゃないかい？そんな風に見えていた韓国の風習なんですが、正月の番組だったかで、「なーるほど」って、その理由を聞いて納得しました。

　　時代劇でよく目にする韓国の伝統衣装のチマチョゴリ、言ってみれば着物とドレスのハーフってな形になっているわけですが、そう、そこに日本と韓国の文化からくる大きな違いがあったわけなんですよね。
　　日本の伝統衣装と言えば着物、最近でこそ着物をお召しになっても洋服を着ているみたいに、颯爽と歩く女性が増えてはいるものの、昔の女優さんなんかは裾を乱さないように歩いたものです。
　　一方韓国では裾はドレスのようになっているのだから、サッサッサッと足を運ばなければいけない、そこに日本の女性と韓国の女性の歩き方にも変化が表われようというものです。
韓国の女性って、なんであんなに颯爽と生意気な歩き方をするんだろう？って思っていたのが、そんな伝統衣装の変遷から見えてきたりする。




　　立て膝座りにしても同様で、日本の着物の場合はやはり裾が乱れないようにしながら座り、振袖ともなれば袖を広げる、だから正座が美しい姿に見える。
一方韓国では、ドレスのような裾を広げて座る、美しくフワッと広がるように座るには立て膝の形がいいんだそうです。
だから韓国の伝統衣装からすれば、女性を美しく見せる方法だったわけです。



　　こんな具合に女性の所作ひとつを見ても、日本らしさ、韓国らしさの違いは、古い文化からきているものなんだってことが理解できます。
日本も韓国も欧米風に文化が変化していくにつれて、現代の着物を着た若い女性のように、そんな所作も違いが無くなってくるのかもしれません。

　　
　　さて、韓国の文化で、自分が全然知らずにやっていたこと、それはBSの「トリビア館」でもやってましたが、食事の時に器を持ち上げて食べるということです。
　　言われてみれば、昨年の５月に「順天シティーツアー」で皆さんと食事をした時に、ビビンパの器を持って食べてたのは自分だけだった気がします。
知らないっていうのは面白いです、今聞けばそんな韓国の習慣なのに、その時は「なんて横着な食べ方」ってこっちが反対に思っていたんですから。
ご一緒していたのが日本に留学されていたような皆さんでよかったです、そうでなかったら「日本人ってマナーが悪いねえー」って、お互いに腹の中で思い合っていたことでしょうね（笑）

　　だって器も持たずに片肘付くような食べ方なんですよ、自分が子供の頃だったら父親にド叱られるような食べ方なんですから。
　　で、韓国の人達にすれば「貧乏人そうろうの卑しい食べ方」って、自分の食べ方を見て呆れ返っていたりするんですよね、きっと

　　　　　　　　　　

　　韓国では食器は金属製ですから、熱くて持てないなんていう説もありますが、有力説は、
貧しい奴婢なんかは、食台が無いから床に置くしかない、だから手でもって食べるしかなくなる。
お金持ちやちょっと豊かだと、食台にいくつかの器を並べるから、いちいち食器を持っては食べない。
そんな金持ちのステータス的な食べ方と熱い金属の器ってこともあって、韓国では食器を持たない食べ方が普通になっていったんでしょう。
だから食器を持って食べるのは、貧しい下品な食べ方ということらしいです。



　　そんな韓国では当たり前の食事のマナーであっても、これからも自分は無理に合わせたりはしないと思います。
そんなに神経質になって慣れないことしてたら、せっかくの食事が美味くないじゃないですか。
「相手の国のマナーを知って合わせなくちゃ失礼でしょ！」なんていう方もおみえのようですが、そこまでする必要はないと思うんですよ、たかだか数日の旅行じゃないですか、食事の代金を払うのは自分なんだし、好きにさせてよって感じです。
自分って、こういうところ頑固でへそ曲りなんですよね（笑）、自分の国の習慣でなぜ悪い？なーんて。
むしろ日本人の食事の仕方だよって知ってもらえるじゃないですか、って勝手な屁理屈ですが…。
　　それよか、こんな風にお互いのマナーや習慣を少しずつ知って、お互いのそんなお国の違いを尊重しあっていくことの方が、ずっと大事なんじゃないですかねえ。

　　一方的に相手の国が無作法ってんじゃなくて、日本は日本の文化の中で生まれたマナーや習慣、そして韓国は韓国の長い歴史の中で生まれたマナーや習慣、その違いがあるって知っているだけでいいと思います。
自分はこういったことを知ったから、「韓国ってなんて品の無い食べ方」なんて思うことが無くなるわけですから。