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「王女の男」の第1話で見られた、あのドラマのあの場所・こんな場所

  ドラマ「王女の男」は、精力的な撮影がなされて、移動も半端ではなかったようなことを耳にしています。
それを象徴するかのような第1話でした、とにかくあっちの撮影所、今度はこっちのテーマパーク、そしてあの観光地と、たったの1時間にも満たない初回放送分だけでも、各地を転々としたシーンのオンパレードです。
  そんな中、過去のドラマで登場した場所もいくつか目に付きました、今回はまったく別の使われ方をしている場所や、カメラアングルが変われば、同じ場所なのに気付かないようなものもあります。
自分が気付いたそんな過去のドラマのあの場所この場所を、少しばかり紹介していきたいと思います。


  まず最初は、キム・スンユが妓楼で寝過ごして慌てて飛び出していくシーンがありました。
あの〝妓楼〟として使われていた場所に見覚えはありませんでしたか?
場所は「聞慶KBS撮影所」、そして過去のドラマでは何度も目にしていたお屋敷でした。
  「済衆院」のソンナンの家、通訳官様のお屋敷だった場所です。
自分もじっくり見てきたあのお屋敷のセットが、なんとまあ今度は〝妓楼〟です、提灯をぶら下げて置物をちょっと変えれば、同じ場所が全然違って見えるどころか、お屋敷が妓楼に変身してしまうんですよねぇ。

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  お次のこちらは変身はしてません、ただ、ほんの一部しか映してもらえなかったよー!っていう場所です。
同じ「聞慶KBS撮影所」のシンボル的な存在の「光化門」です。
王女が宮廷を抜け出す時のシーンですね、「推奴」や「成均館スキャンダル」で目にした「光化門」のほんの一部分でした[わーい(嬉しい顔)]

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  以前のドラマでは〝学びの場所〟だったのが〝武道〟の場所へと姿を変えていたのがこちらです。
「済衆院」ではドヤンが学ぶ「成均館」だった場所が、今回では正反対の武術の場になっていたのが、多くのドラマの撮影地となっている栄州市にある「ソンビ村」に、隣接した位置関係で存在する「士文化修錬院」です。
キム・スンユの友人のシン・ミョンが華麗な武術の技を披露していた場所になっていました。

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  次の場所は、画面では分からないけれど、そこへ行った人には分かるというシーンです。
場所は「南楊州総合撮影所」、「トンイ」で紙気球が飛び、「ファン・ジニ」が綱渡りをしていたシーンが撮られた撮影所ですが、、今回の場所はその〝綱渡り〟の方に関係しています。
ドラマ「ファン・ジニ」で綱渡りをしていた場所のすぐ脇はこんな風景になっています。

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そこで、このシーンなんですが、つまりこの場所は、あの「ファン・ジニ」が綱渡りをしていたシーンが撮られたのと同じ場所なんです。

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友人のチョン・ジョンが借金取りに捕まっているのを救ったシーンだったのですが、しかし、その前にチョン・ジョンが追われて王女の輿に飛び込んだのはまた違う場所なんです、そちらは「一枝梅に」関係してますが、後ほど別の話題で書くことになりそうです[手(チョキ)]
このキム・スンユたちと出会った方のシーンだけが、「南楊州総合撮影所」が使われていたということなんです。

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  最後に控えしは、懐かしいドラマの懐かしいあのシーンの場所です。
今回の「王女の男」では、国王が娘の王女の勉強ぶりを抜き打ちで見に来たというシーンでのこの場所。

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撮影所のセットではありません、この場所は水原にある「華城行宮」です、そして、この場所で過去に撮られたシーンがこちらになります。
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「チャングムの誓い」で、医女試験の合格発表が貼り出され、合格に喜んでいたというシーンが撮影された場所というわけです。

  自分が見つけただけでも過去のドラマとの共通の場所がこんなに! それよりも何よりも、撮影所から観光地まで、以前にも紹介している「江陵」の伝統家屋や「扶安映像テーマパーク」なども含まれますから、たったの1話だけでこんなに多種多様の場所が撮影に使われていたということの方が驚きです。


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『王女の男』の第1話で、美しい景観を見せていた「広寒楼苑」

  昨日の記事、前のページでは「七夕伝説」由来の石橋のことを書かせてもらいました。
そしてその石橋が存在する美しい庭園や大きな楼閣の姿も、やはり韓国を代表する伝統的な美のひとつと言えるでしょう。
それが全羅北道 南原(ナムウォン)市にある「広寒楼苑(クァンハルルウォン)」です。
今年は韓国の観光PRでは「全羅北道 訪問の年」となっていますが、その全羅北道を代表する観光地が、「全州」の韓屋とここ「広寒楼苑(クァンハルルウォン)」で、ひとつだけの観光地とすれば、全羅北道で最も多くの観光客が訪れる名所となっているんだそうです。

「王女の男」TV画面より
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  この庭園は、当初、「広通楼」という名前で、1419年朝鮮時代初期の宰相である「黃喜」という人物によって造られたものらしいのですが、1444年に「鄭麟趾(チョン・インジ)」という人物がここを見て、あまりのその美しさに、まるで月の世界にある宮殿「広寒清虚府」のようだ、と言ったことからここを「広寒楼」と呼ぶようになったんだそうです、…とあちこちに書いてあります(笑)

  韓国では宮廷以外の場所での大庭園はなかなか存在していない中、この庭園は宮廷にも劣らない規模を誇っているという、韓国を代表する大庭園なのですが、植えられた樹木が、宮廷のような人工的な感じではなく、自然の中の樹木のような風情や景観を見せているため、その美しさはひときわのようです。
  この「広寒楼苑」は昨日も少し書きましたが、天空、つまり天体である大宇宙を表現しているのだそうです。
ドラマ「王女の男」の中で、世子が弓を射っていた場所が、ここを代表する建造物である「広寒楼(クァンハルル) 」です。
そしてその楼閣を中心にして、東西100メートル、南北59メートルという長方形の人口池が築かれ、その池の中に「永住(漢拏山)」、「蓬莱(金剛山)」、「方丈(智異山)」という三神山に見立てた島が築かれた形になっています。
つまり、大宇宙の中に、日本で言えば三霊山が存在するという形です。  
  世子が射た矢の的が置かれていたのが、ちょうど「蓬莱(金剛山)」と「方丈(智異山)」という二つの島を結ぶ橋になっています。

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  そして、この池の中には3,000匹という、在来の鯉や錦鯉が放されているんだそうです。
かなり以前にどこやらで話題になってましたが、〝人面魚〟の鯉も10匹存在しているんだそうですよ。

ところで、ここ、以前は「屋根裏部屋の皇太子」というドラマが撮影されたというロケ地でもあるそうなのですが、あいにく自分はそのドラマを知りません。
見たことのある方にとっては、「あー、あの場面だ」と思い当たる風景かもしれません。

  韓国を代表する伝統庭園である「広寒楼苑(クァンハルルウォン)」、ドラマを見ていたらついつい行きたくなってきてしまいますが、ここへのアクセスとなる「南原(ナムウォン)駅」はKTXも停車しますし、全州からのバスでのアクセスもいいかもしれません。
夜のライトアップされた風景もすばらしいようですので、夏の旅行にはちょうどいい観光名所になりそうです。
自分ももっと早くここを知っていたら、昨年の旅行で全州から行きたかったなと、ちょっとばかり残念な思いをしています。

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   韓国観光公社案内
     http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TE/TE_JA_7_1_1.jsp?cid=282137
   南原市の観光サイト
     http://jp.namwon.go.kr/jp/index.jsp





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『王女の男』に登場した宮廷庭園の石橋は、「七夕伝説」にまつわる〝愛の橋〟

  いよいよ始まりました「王女の男」、比較的時代劇の場合は韓国で人気があったものは、日本でもかなり期待できるので今後の展開が楽しみです。
24話完結なので、テンポよくイライラなしのドラマ展開がされそうってところが、自分みたいな短気な野郎にはもってこいのドラマかもしれません(笑)
だけど、どうもNHKさんの吹き替えには辟易ですねえ、特にあの世子の声ったらまるっきりアニメの少年だっせ、とにかく吹き替えが全体的な雰囲気をぶち壊してる気がしてならないのは自分だけですか?

  さてさて、その「王女の男」開始後の一発目は、見事な庭園を見せていた「広寒楼(クァンハルル) 」の話題からいきたいと思います。
ただし、その庭園やら全てを含めた「広寒楼」は次の話題に持ち越しさせていただいて、今日のところは見事な風景を演出していた池に架かる長い石橋の話題にしたいと思います。

  ちょうど昨日は七月七日の七夕でしたから、話題としてはとってもタイムリーだと思うのですが…[わーい(嬉しい顔)]

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  王女たちが渡っていた長くて見事な石橋、名前を「烏鵲橋(オジャッキョ)」といいます、なんとまあ難しい漢字ですが、日本語では〝うじゃくきょう〟と読みます。
烏鵲(うじゃく)とは鳥のカササギ、韓国ではカラスの代わりにやたら目にする白と黒の鳥の名前です。
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なんでこんなカラスの親戚の名前が付けられてるのか(?)と調べましたら、そこには意味があったんですよねえ、それが七夕(たなばた)に関わることなんです。
  古代中国に、カササギは〝七夕の夜に橋を作る〟という伝説があって、そこからこの橋の名前は由来しているようです。
自分が読んだものにはどこにもそんなことは書いてありませんでしたが、多分そうだと思います、という、いい加減無責任なおいらですが、多分正解だと思いますよ、なんたって韓国ってけっこう古代中国の伝説を取り入れています。
  そして何よりも、この庭園自体が天空を表現している庭園なんです、そして空にある川と言えば(?) んだ、「天の川」ですよねえ、そんでもって七夕の夜にカササギが橋を作れば、渡るのは彦星さんと織姫星さん、この織女と牽牛の伝説自体が古来中国のものなんですねえ。
ということで、カササギが作った橋という意味があるということになります。
  
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  回りくどく書きましたが、この「烏鵲橋」は天の川に架かる橋を表現しているものらしいのです、だけど天の川は年に一度しか渡れませんが、こちらの天の川に架かる「烏鵲橋」は、いつでも何度でも渡ることができます。
そして韓国では知らない人はいないといわれる、「春香伝」という愛の小説の舞台として有名な場所なんだそうです。
  そんなことから、文明が進んだこの現代でも、恋人達を結ぶ〝愛の橋〟として、それこそ愛を育む都市伝説のパワースポットとして語り継がれている橋でもあるんです。
恋人同士を結びつけるだけじゃない、夫婦和合、言い換えれば子宝も授かるというとっても有り難い橋だそうで、年に一度以上渡れば子供が授かるそうですよ、お年寄りのご夫婦なんかは一度渡るくらいにしとかなきゃ大変ですよねえ、80過ぎて子宝にめぐまれちゃったよーって(笑)
  一説には、処女でない女性が渡れば橋が崩れるなんて言い伝えもあったりするそうで、昨今の事情を考えたらとうにこの橋は崩れ去ってます[ちっ(怒った顔)]
でもこれは無いっしょ、それじゃ夫婦和合と噛み合わんだろうってことになっちゃいます[たらーっ(汗)]

  なんにしても、早い話が〝縁結び〟&〝子宝祈願〟というところ、過去の逸話から結びつける都市伝説のスポット、どこの国でもこういうのはおんなじみたいですね[わーい(嬉しい顔)]

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  なんでもこの石橋は幅が2.4メートル、長さが57メートルもあるそうで、韓国の庭園に架けられた石橋としては最長の長さを誇っているそうです。
しかも、広寒楼などの建物は壬辰倭乱(イムジンワラン)で消失して1626年に復元されてますが、この「烏鵲橋」だけは最初の1419年当時のままの姿を残しているといいます。

  「王女の男」は韓国の伝統的な美しい姿を映像の中で随所に見せてくれるようです。
その最初ともいう美しい伝統庭園の姿、そしてそこに架かる石橋は、古い〝七夕伝説〟にまつわる韓国を代表する石橋だったのです。
そして昔も今も変わらない愛の願いが込められた橋でした。

  では今日のところは「七夕」の翌日ってことで、それにまつわる橋の話題にしましたが、次回は「広寒楼(クァンハルル)」苑自体を話題にしたいと思います。 



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【韓ドラ雑記】 あのドラマのあの人の、意外な姿で見始めた 現代ドラマ「私の心が聞こえる?」

  自分が連続して視聴する韓国の現代ドラマなんて、ほんの稀で、続けて見る気になるなんてのは年に数作程度。
昨年に見たドラマは、「赤と黒」と「明日に向かってハイキック」と、ってな感じで、すぐに指折り数えられてしまえます[わーい(嬉しい顔)]

  そして今年はもう半分が過ぎたのに、時代背景的に完全な現代ドラマと言える作品はひとつも無いという状況だったのですが、ここにきて今年初の連続して見始めた現代ドラマがあります。
とはいっても、見始めたのは第8話目からで、まだホカホカもホカホカ、今週からなんですよね。


  主人公が耳が聞こえないとかいう、テレビ予約の解説を見てちょっと興味が沸き、その主役が一昨年の「韓国地上軍フェスティバル」で、直に〝キラースマイル〟を目にしたキム・ジェウォンということで、「この人ドラマに復帰したんだぁ」という、そんな興味からちょっと録画して見てみることにしたんです。
そうしたら、多分これは最終回まで続けて見る今年初の現代ドラマということになりそうです。
それが「私の心が聞こえる?」というドラマです。

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  もちろん韓国ドラマですから(?)、復讐とか複雑な人間模様とかありますが、ドロドロ感がなくってなんやらホンワカしていて、なんとなくあったかい感があるんですよ。
自分が視聴する韓国の現代ドラマは、何故だか韓国ではあまり視聴率が振るわなかったものが多いのですが、やっぱりこのドラマもそのようです。
現代ドラマに限っては、どうも韓国の皆さんの嗜好と自分の嗜好は一致してないようで(笑)、このドラマも韓国人よか日本人向きのドラマではないかと思っている次第です、自分が日本人代表ってわけではないですが(当然です!)[たらーっ(汗)]

  ところで、このドラマのあっかい感を出しているのが、意外な人物なんですよねえ、以前にも書きましたが、この人ったらいったいどれだけの顔があるんだろうって感じです。
確かによくよく見れば、顔のつくりは同じなんですよぉ(あったりまえじゃい!)、なのによくもこんなに変身ができるものだと感心してしまいます。

  その人の名は「チョン・ボソク」、前にも書きました、「明日に向かってハイキック」のちょっと頼りないお間抜けな父親が、「ジャイアント」でのあの冷徹なチョ・ピルヨンだっていうことで驚いたものです。
そうしたら、その昔は「大祚榮(テジョヨン)」で、爬虫類のような憎々しい顔のイ・ヘゴをやってた人だぁ、「商道(サンド)」でも冷たいライバルのチョン・チスを演じてた人やんけ!ってことで、あの「明日に向かってハイキック」の父親役が信じられへん!!!と、もっと〝びっくりマーク〟を付けたいくらいの驚きでした。

「明日に向かってハイキック」より
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  ところが、今度はその上を行く〝びっくりマーク〟をいくつ付けたらいいねんッ!という役で、しかもそれがまたよく似合ってる。
知的障害をもち無邪気な子供のような父親役、しかも実の子でない娘や家出した実の息子(だと思ってる)を誰よりも愛する、純粋でとってもやさしい役なんです、この人を見ながらついつい笑顔になっている自分がいます。

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  このチョン・ボソクが演じる父親のポン・ヨンギュが、このドラマをとっても暖かいものにしているんですよねぇ!
確かに悪役の時の、あの爬虫類顔なんです(笑)、それなのにその同じ顔で、どうやったらこんな暖かい人間味が出せるんだろうって、もう驚きを通り越している自分です。
そんなんで、もうこのドラマから目が離せなくなってしまった自分になってしまいましたー[わーい(嬉しい顔)]

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  「商道(サンド)」を見たことのある人
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  「大祚榮(テジョヨン)」を見たことのある人
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  「ジャイアント」を見たことのある人
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  ぜひぜひこの「私の心が聞こえる?」を、ドラマの好き嫌いに関係なく一度試しに見てやってください、きっと自分と同じ〝信じられへん!〟を味わうと思いますよ[手(チョキ)]

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「王女の男」の時代背景から  「定順王后」を支えた韓国(朝鮮)らしい〝女性パワー〟

  よく韓国の人たちの気質で、「他人の領域に遠慮なく入り込んでくる」なんて言われることがあります。
日本人から見ると「うっとうしい!」 と感じたりもしがちですが、その裏を返せば「他人のことだろうがほっとけない」みたいな世話好きな一面と捉えることもできます。
特に、少しばかりご年配の女性ともなれば、そんな傾向が強くなったりもします[わーい(嬉しい顔)]、どことなく関西人の気質に似ているような(?)気もしなくはない。

  前のページで書いたように、夫の端宗(タンジョン)こと魯山君(ノサングン)も亡くなり、格も落とされ宮中も出て、庶民の生活を強いられることになった定順王后(チョンスンワンフ)と三人の侍女、魯山君の菩提を弔い冥福を祈っていれば、腹も減らなきゃ食い物もいらないというわけにはいきません、ごく普通の人間なんですから、とにかく貧しいながらも生活を始めます。

  そんな姿に同情を募らせ、庶民達の間で噂が広まって困るのは、世祖を筆頭にした朝廷側のやからです。
民心が同情に傾いてしまえば、後ろ暗い自分たちなのですから、あくまで反逆者の妻でいてもらいたいわけです。
そこで、建物を与えて面倒をみようと持ちかけますが、断固拒否されてはどうしようもできない。

  ただ、王后の方も、仇である朝廷の援助は受けたくはないものの、意地だけでは食べていけませんから、リボンなどのちょっとした布の小物を作っては近所で売ったりして食い繋いでいきます。
しかし女四人が食べていくのはやはり無理がありますから、食うや食わずの苦しい生活を強いられることになってしまいます。

  そんな様子を目にし、耳にした近所の庶民の皆様が見兼ねて救いの手を差し伸べます。
内緒で少ないながらも食べ物などを運んでくれるようになります、しかし、朝廷の目がありますから大っぴらにはできません。
何しろ王后は朝廷側にとっては〝要注意人物〟なのですから、親しくしていつも援助するなんてことはできません。
それこそ目を盗むようにして、こっそりと庵の前に置いてくるとか、そんなことしかできないのですが、しかしそれすらもなかなか容易なことではないのです。

  そこで女性たちは考えた! そしてなんとか王后を援助する方法はないものかと考え抜いて、ついに絶妙な方法を思いついたのです。

  大勢の女性だけが集まり、女性だけで売り買いをする市場を、王后の庵の側で立ち上げることにしました。
もちろんそこは〝8歳以上の男子禁制〟として、朝廷の役人だろうが誰だろうが、男という男は一切排除するという方法をとったのです。
後世に伝わる 『女人市場』 の誕生です。

  こうして女性だけの市場が出現し、野菜や穀物などを売り買いするという名目の元、役人の目も気にすることなく侍女を介して、王后に食べ物などの援助ができるようになりました。
まさしく韓国(朝鮮)の女性パワー発揮といったところです。
  朝鮮時代なんてのは、男尊女卑が顕著な時代です、そんな時代にこんなことができたのは、よっぽと大勢の女性の力が結集されたに違いありません。
それくらいに王后の姿は傍目にも放ってはおけないほど、痛ましくも健気に映っていたのでしょう、特に同じ女性の目には。
朝廷がどうであろうが、もう民心は端宗や定順王后への同情心でいっぱいだったのだろうと思います。
  日本でいえば、あの「赤穂浪士」に同情し応援した、お江戸の皆様方と似たような庶民の感情だったのかもしれません。

  こうして、定順王后は庶民の力を借りながら、82歳という生涯を終えました、まるで端宗の分の寿命も半分引き受けたような、当時としては天寿を全うしたと言えるのではないでしょうか。
しかしそれも、64年間を支え続けた、朝鮮の〝女性パワー〟があったればこそだったのです。

  その市場があった場所は、現在は小学校になっていて、碑のみが残されているそうです。

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  悲劇の幼き国王「端宗」と「定順王后」の話題は、一旦ここで休止です、またドラマ「王女の男」の展開とともに、この「端宗」を含めた〝「王女の男」の時代背景〟の話題を書いていきたいと思っています。

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